はじめに
スタートアップのための株価算定シリーズコラム第5回をご覧いただきありがとうございます。
スタートアップ企業やIPO準備企業では、役員・従業員へのインセンティブとして非上場株式を原資とするストックオプション(以下「SO」)が広く活用されています。
非上場企業がSOを発行する場合には、行使価額(あらかじめ決められた、将来株式を取得する際の価格)を決定するための株価算定が重要な論点となります。
特にスタートアップでは、優先株と普通株が混在する資本構造・税制適格SO制度・株式報酬会計などが関係するため、株価算定の考え方は複雑になります。
またスタートアップ企業では、優先株式による大型調達の影響で、普通株式の税法評価額が極めて低く算定されるケースがあります。
この結果、行使価額を1円とする、いわゆる「1円SO」が発行される場合もあります。
本コラムでは以下の観点からSO発行時の株価算定の実務を解説します。
- SO発行時に必要となる株価算定の種類
- 税法評価(セーフハーバールール)の仕組みと計算の考え方
- 公正価値評価(VCレートDCF等)の考え方
- 優先株が存在する場合の非上場普通株評価(OPM)
この記事のポイント(まとめ)
・ ストックオプション発行時の株価算定には「税法評価特例方式(セーフハーバールール)」と「公正価値評価」の2種類がある
・ 税法評価特例方式では算定上の普通株価値が0円となる場合があり、いわゆる「1円SO」が発行されることがある
・ 公正価値評価は、株式報酬費用の算出や、実態に即した権利行使価額の決定に使用される
・ 優先株が存在する場合の普通株価は優先株価よりも低く算定される
ストックオプション発行時の株価算定
本章では、非上場企業がSOを発行する際に必要となる株価算定の基本構造を解説します。
ストックオプション(SO)とは
SOとは、あらかじめ定めた価格(行使価額)で非上場・上場を問わず会社の株式を取得できる権利(新株予約権)です。
役員や従業員の株式取得を通じて企業価値向上のインセンティブを与える制度として利用されています。
スタートアップ企業では、人材確保・成長インセンティブ・現金報酬の補完といった目的で広く活用されています。
ストックオプション発行時に株価算定が必要な理由(行使価額との関係)
非上場企業がSOを発行する際に株価算定が必要となる主な理由は以下の3点です。
①税務リスクの回避(税制適格SO要件)
税制適格SOの要件として、行使価額は付与契約時の1株あたりの時価以上に設定する必要があります(租税特別措置法29条の2)。
非上場企業の場合、この「時価」の算定にセーフハーバールール(特例方式)を適用することで、税務上の否認リスクを低減した行使価額設定が可能になります。
② 行使価額の決定(税制適格SO、有償SO)
SOの行使価額は、実務上、非上場普通株価(時価)を基準として設定されます。
税制適格SO発行時においても、株式報酬費用の発生を抑える目的で、公正価値評価による算定結果を行使価額に設定するケースが多く見られます。
③ 会計処理(株式報酬費用の算定)
株式報酬費用の算定のための公正価値評価が必要な場合があります。
税制適格SO発行時の「2つの株価評価」|税法評価と公正価値評価の違い
SO実務で最も混同しやすいのが、「税制適格要件充足のための評価(税法評価)」と「費用を正しく計上するための評価(公正価値評価)」の使い分けです。発行するSOが「税制適格」か「有償」か、あるいは「IPO準備中」かによって、優先すべき算定手法が異なります。それぞれの特徴を以下の表で整理します。
| 項目 | 税法評価(セーフハーバールール) | 公正価値評価 |
|---|---|---|
| 目的 | 行使価額の最低限度の判定 | 株式報酬費用の算定 行使価額の決定(※) |
| 根拠 | 税制適格SO制度(租税特別措置法) 財産評価基本通達 | 会計基準(企業会計基準等) |
| 利用場面 | 税制適格SO発行時 | 全てのSO発行時(会計上の費用認識が必要な場合、または有償SO発行時) |
※【実務上のポイント】
公正価値=行使価額とすることで株式報酬費用の計上を抑える設計が採用される場合があります。
この場合、公正価値算定結果を基礎として行使価額を設定することになります。
税法評価特例方式(セーフハーバールール)|税制適格SO行使価額算定に使える株価特例
非上場企業の税制適格SO行使価額決定時に利用可能な税務評価特例方式(セーフハーバールール)の仕組みを解説します。
税務評価特例方式(セーフハーバールール)とは
税務評価特例方式(セーフハーバールール)とは、税制適格SOの行使価額を決定する際に限定して利用できる株価算定の特例方式です。
このルールに従って算定した株価以上の行使価額でSOを発行すれば、一般的には税務上問題とされません(ただし前提条件や算定手続の適切性が重要です)。
特例方式における非上場普通株評価の考え方
特例方式には複数の算定方式があり、その中から選択可能となっています。
実務上、使用頻度の高い純資産価額法について説明します。
概念的なイメージとしては以下のように表せます(実際の算定は財産評価基本通達等に基づく専門的な計算が必要です)。
税法評価特例方式(セーフハーバールール)の一般的な算定方法(純資産価額法)
= 税法上の純資産価額(税法上の資産価額合計ー負債価額合計)
- 優先株式の経済的価値相当額
(残余財産優先権・償還権・転換権等の条件を反映して算定)
優先株式は残余財産優先権・償還権・転換権などの優先的権利を持つため、普通株より高い経済的価値があります。
特例方式ではこれを控除することで普通株固有の価値を算定します。
スタートアップで非上場普通株の算定上の価値が低くなる理由
スタートアップ企業では資金調達の多くが優先株式で行われます。
そのため次のような状況が生じることがあります。
優先株式の経済的価値相当額 > 税法上の株式評価額(原則的評価額)
ここでいう「原則的評価額」とは、財産評価基本通達で定める類似業種比準価額方式・純資産価額方式等によって算定される非上場株式の評価額です。
優先株式は残余財産優先権・償還権・転換権などの優先的権利を持つため、普通株より高い経済的価値があります。
特例方式ではこれを控除することで、普通株固有の価値を算定します。
この結果、計算上の非上場普通株の税法評価額は0円となることがあります。
(純資産価額マイナスの場合には、株価マイナスにはならず0円と算定されます。)
これはあくまでセーフハーバールール上の算定結果であり、会社の実態価値がゼロになることを意味するものではありません。
税制適格要件を満たす「1円SO」が発行される仕組み
セーフハーバールールに基づき、非上場普通株の税法評価額が0円と算定される場合は、行使価額を1円以上に設定することで税制適格要件(付与契約時の時価以上)を満たす形となります。
これにより、将来の株価上昇メリットを最大限に享受できる、いわゆる「1円SO」(セーフハーバールールを利用して発行される行使価額1円のSO)の発行が可能となります。
特にスタートアップ企業では優先株による調達金額が大きいため、このような算定結果となるケースも多く見られます。
税法評価特例方式(セーフハーバールール)使用時には株式報酬費用計上が必要
セーフハーバールールはスタートアップによって低い行使価額設定を可能とするメリットがある一方、株式報酬費用を計上しなければならないというデメリットも存在します。
セーフハーバールール(特例方式)は税務上の行使価額の最低限度を確認するための算定方法と位置付けられています。
会計上の株価(公正価値)は、これとは別に一般的にはDCF法等によって算定されます。
スタートアップのDCF法等による公正価値は、財産評価基本通達による税務上の時価を大きく上回ることが一般的です。
この差額が株式報酬費用として認識されます。
株式報酬費用=(会計上の株価 - 権利行使価額) × 付与したストックオプションの株数
この点は国税庁Q&Aにも明記されており、特例方式を用いた場合であっても、会計上算定した株価が権利行使価額を上回る場合には、その差額を株式報酬費用として処理します。
セーフハーバールールに関するよくある勘違い
セーフハーバールールによる株価を有償SO行使価額に設定できません【よくある勘違い】
セーフハーバールールによる株価は
税制適格SOの行使価額決定目的に
限定して使用可能です。
セーフハーバールールの株価は貸借対照表上の純資産価額‐優先株調達金額ではありません【よくある勘違い】
特例方式では財産評価基本通達に基づき純資産価額を算定することが認められています。
財産評価基本通達に基づく純資産価額は、時価評価可能な資産について時価評価すること、資産性の認められない資産価額は減額すること、過去の別表調整を反映すること等々の調整が必要になります。
貸借対照表上の純資産の部金額とは大きく乖離することも珍しくありません。
特に以下のケースに該当する場合には、注意が必要です。
- 土地、上場有価証券を保有している(時価評価が必要)
- 子会社を保有している(子会社の純資産価額評価が必要)
- 過去に多額の減損、減価償却超過等を行っている
スタートアップ企業の株価はセーフハーバールールを使用すればすべて0円になる【よくある勘違い】
優先株調達を実施している全てのスタートアップ企業の株価が0円になるわけではありません。
個社の財務状況により算定株価は相違しますので、必ず顧問税理士もしくは専門家にご相談ください。
セーフハーバールールと株式報酬費用について詳しく知りたい方は、ストックオプションシリーズコラム第4回「税制適格ストックオプションの権利行使価額とセーフハーバールール」をご覧ください。
公正価値評価(会計上の株価)
公正価値評価とは
公正価値(フェア・バリュー)とは、一言で言えば「知識のある自発的な当事者間で、独立した第三者取引が行われる場合に、資産が交換され、または負債が決済される価格」のことです。
公正価値評価とは、この公正価値を用いて株式等の価値を算定することを指します。
税法評価が「公平な課税」を目的に、相続税法等の財産評価基本通達に基づき算出される画一的な価額であるのに対し、公正価値評価は市場実態に基づいた「理論上の適正価格」である点が異なります。
SO発行時の公正価値評価の使用目的
権利行使価額の決定
権利行使価額を公正価値以上として設定するために算定を実施します。
実務上は以下のようなケースが該当します。
①有償ストックオプションの権利行使価額決定
②税制適格ストックオプションの権利行使価額決定
①については権利行使価額決定のための株価算定に加え、付与対象者が発行会社に支払う対価算定のためのオプション価値評価も必要な点に注意が必要です。
②については公正価値=権利行使価額とすれば非上場企業では株式報酬費用=0として税制適格SO発行が可能となります。
このため、特に上場申請直前々期(いわゆるn-2期)以降のスタートアップでは、権利行使価額=公正価値と設定して税制適格SOを発行する事例が増加する傾向にあります。
株式報酬費用の算定
税制適格ストックオプション権利行使価額決定にセーフハーバールールを採用する場合には、株式報酬費用算定のために公正価値評価が必要になります。
つまりセーフハーバールール採用時には
①税法評価特例方式(セーフハーバールール)の株価算定
②公正価値評価(会計上の株価)の株価算定
2種類の株価算定が必要になります。
公正価値評価方法
SO発行目的で使用される公正価値算定方法の代表例を紹介します。
DCF法(VCレート・Exitマルチプル法)
DCF法(Discounted Cash Flow法)が評価手法として利用される事例が多いです。
DCF法とは、将来のフリーキャッシュフローを割引率(WACC、VCレート等)で現在価値に換算して非上場企業の企業価値を算定する方法です。
スタートアップではVCレートとExitマルチプル法を使用するDCF法が使用されることが一般的です。
DCF法(WACC法)
WACC(加重平均資本コスト)を割引率に用いるDCF法は、安定したキャッシュフローが見込める成熟段階の非上場企業に適用されます。
DCF法の詳細は、コラム第3回「スタートアップの株価算定におけるDCF法の実務」をご覧ください
バックソルブ法
マーケットアプローチの一種であり、調達時の優先株価を市場株価と想定して普通株価の理論株価を算定する方法です。
第三者割当増資直後に使用される場合があります。
マルチプル法
マルチプル法は、類似上場企業のEV/EBITDAやPERなどの市場倍率を用いて対象企業の企業価値を算定するマーケットアプローチです。
IPO直前期のスタートアップでは、DCF法との折衷もしくは併用により活用されます。
バックソルブ法、マルチプル法の詳細は、コラム第4回「非上場企業の株価算定|マルチプル法とバックソルブ法」をご覧ください。
以上のように、一般的な評価方法は非上場企業の成長ステージによって以下の通りと整理されます。
| ステージ | 主な評価手法 | 特徴・留意点 |
|---|---|---|
| スタートアップ企業全般 | VCレートを用いたDCF法 | スタートアップ企業の評価時は実務上はDCF法が適用される場合が多い |
| 資金調達直後 | バックソルブ法 | 直近の優先株発行価格を基に、OPMを逆算して企業全体のエクイティ価値を求める手法。実務上広く受け入れられており監査対応上も説明しやすいが、調達から時間が経過すると再算定が必要 |
| IPO直前 | DCF法+マルチプル法(EV/EBITDA・PSR等) | マーケットアプローチとの整合性確認が重視。上場審査での説明責任が高まる段階 |
| 成熟した非上場企業 | WACCを用いたDCF法 | 安定したフリーキャッシュフローが見込めるためWACCが割引率として適用される |
優先株がある場合の非上場普通株評価
本章では、スタートアップに多い優先株混在の資本構成において、非上場普通株の価値をどのように算定するかを解説します。
スタートアップの資本構成と価値配分の必要性
スタートアップ企業では、資本構成が以下のようになっていることが一般的です。
- 優先株式(VCが保有)
- 普通株式(創業者・役員・従業員等が保有)
- SO(役員・従業員等が保有)
この場合、企業全体のエクイティ価値を算定した後に、優先株と非上場普通株のそれぞれへの価値配分が必要となります。
優先株価値配分手法
非上場スタートアップの実務で用いられる主な価値配分方法は以下の通りです。
- PWERM(確率加重期待収益法):IPO・M&A・清算等の各シナリオに確率を加重した期待収益により配分する方法。シナリオ設定の合理性が問われる
- OPM(オプション価格モデル):ブラック・ショールズ・モデル等の理論を用い、将来のExit価格における優先配分権を考慮して普通株の価値を算出する手法です。
優先株への価値配分手法についてはシリーズ第6回「増資目的の株価算定」で詳しく説明いたします。
非上場企業のストックオプション株価算定 実務まとめ
企業の状況・目的によって適切な評価方法の組み合わせが異なります。以下に代表的な場面をまとめます。
| 場面 | 必要な株価算定 | 備考 |
|---|---|---|
| 税制適格SO発行(セーフハーバールール利用あり) | 税法評価特例方式(セーフハーバールール) 公正価値評価 | 監査法人レビュー・上場審査対応が必要な場合あり |
| 税制適格SO発行(セーフハーバールール利用なし) | 公正価値評価 | 税法上の非上場株価算定 優先株経済的価値を考慮 |
| 有償SO発行 | 公正価値評価 | 株価算定に加えSO価値評価も必要 |
監査法人等対応について
SO発行用株価算定時には算定結果を監査法人、主幹事証券会社等がレビューした上で算定機関に質問を実施し、場合によっては算定書の修正が必要となる場合があります。
発行スケジュールにも影響を与える可能性がありますので事前に確認や準備が必要です。
監査法人等レビューが入る場合
どういった場面でレビューが必要となるかは監査法人、主幹事証券等で基準が異なるようです。実務上レビューが必要となることが多い2つの事例を紹介します。
上場申請直前期・直前々期のSO発行時
IPOを目指す企業は、上場申請にあたって主幹事証券会社および取引所の上場審査において、資本政策の合理性・適切性について審査を受けます。
この審査では、上場申請直前期・直前々期に発行したSOについて、行使価額の妥当性・株価算定の根拠が確認されます。
この上場審査対象となるSO発行時の株価算定については、上場審査に先立って監査法人、主幹事証券会社が算定内容の適切性確認レビューを実施することが一般的です。
セーフハーバールール利用時(株式報酬費用の監査)
セーフハーバールールを用いてSOを発行した場合、前章で解説したとおり株式報酬費用の計上が必要になることがあります。
公正価値の水準や発行するSO個数(対象株式数)によっては株式報酬費用が多額になる場合も多く見受けられます。
株式報酬費用の水準によっては、監査法人が株式報酬費用の監査の一環として株価算定のチェックを行う場合が多いようです。
この株式報酬費用の算定にあたって、監査法人は会計上の公正価値(DCF法等)および税法評価額(セーフハーバールール)の算定の適切性、および費用の計上方法の適切性を確認します。
レビュー方法およびよく聞かれる具体的なポイント
レビュー方法
レビュー時には算定書に基づき、監査法人から算定機関に対して質問が送付され、それに回答を記載して返送する形で確認が進められます。
場合によってはこの質問が複数回送付される場合もあります。
具体的ポイント(算定手法・前提条件)
・採用した算定手法(DCF法・マルチプル法等)の選択理由とその合理性
・割引率(WACC・VCレート)の設定根拠
・類似会社(マルチプル法)の選定基準・選定理由
・優先株配分方法の根拠、適切性
・SO発行日と評価基準日(算定日)の関係の適切性
セーフハーバールール利用時に追加で聞かれること
・財産評価基本通達に基づく純資産価額の計算根拠(時価評価資産の評価方法等)
・公正価値算定と税法評価算定で使用した前提条件の整合性
・算定書の日付・取締役会決議日・発行日の時系列の整合性
レビューに要する時間とスケジュールへの影響
所要期間の目安
監査法人によるレビューに要する期間は監査法人により異なりますが、概ね2週間〜1ヶ月程度を要するのが一般的です。
算定書の品質・件数・監査法人の繁忙期によってはさらに長期化する場合もあります。
発行前レビューが必要な場合がある
発行状況によっては、SO発行後ではなく発行前の段階で算定書のレビューを求められる場合があります。
この場合、監査法人のレビューが完了するまでSOを発行できないため、当初想定していた発行タイミングが後ろ倒しになるケースもあり得ます。
監査法人がどのような対応方針をとっているかは、事前に確認しておくことが重要です。
早めの相談が不可欠
上記のとおり、監査法人レビューはSO発行スケジュールに直接影響します。
以下のいずれかに該当する場合、または該当する可能性がある場合には、発行スケジュールを確定する前に、監査法人・算定専門家へ早めに相談することが重要です。
・上場申請直前期・直前々期に該当する、または該当する可能性がある
・セーフハーバールールを利用したSO発行を検討している
・過去に発行したSOの算定書が未整備、または算定根拠が不十分な可能性がある
また算定依頼前の段階で、算定機関の監査法人レビューへの対応可否について確認しておくことも重要です。
発行後に問題が発覚して算定書の修正・再作成が必要になるケースも発生していると聞いております。
準備不足のまま進めると、最悪の場合は上場スケジュール全体の遅延につながるリスクがあります。
よくある質問(Q&A)
Q 1 非上場企業でもSOの株価算定は必要ですか?
A1 必要となる場合があります。
発行時期や行使価額の決定方法、成長ステージによって必要性は異なります。
上場申請直前期・直前々期の発行時、またはセーフハーバールールを利用した発行時には算定機関作成の株価算定書を求められることが多いです。
詳細は監査法人・証券会社・専門家にご相談ください。
Q2 1円SOは税務上問題ありませんか?
A 2 セーフハーバールール(特例方式)による適正な算定の結果として非上場普通株の税法評価額が0円となった場合、行使価額を1円に設定することは税務上も一般的には問題とされません。
ただし否認リスクをゼロにするためには、算定機関による株価算定書の取得・前提条件の適切な設定・税務調査への対応を前提とした手続整備が重要です。
Q3 優先株がある非上場企業の株価算定はどう行いますか?
A3 企業全体のエクイティ価値をDCF法等で算定した後、OPM(オプション価格モデル)やPWERM等を用いて優先株と非上場普通株に価値を配分し、1株当たりの株価を算定します。
OPMではボラティリティや清算優先権等の条件をパラメータとして用います。
スタートアップの資本構成に精通した専門家への依頼をお勧めします。
Q 4 算定方法は自社で決定できますか?
A4 最終的な決定主体は会社ですが、実務上は算定機関(公認会計士等)・監査法人・主幹事証券会社等と協議しながら決定することが一般的です。
算定目的・企業のステージ・資本構成・監査法人の見解等を総合的に考慮して最適な手法が選定されます。
非上場企業の株価算定・企業価値評価は専門家への相談が重要
スタートアップ企業の株価算定を適切に実施しないリスク
株価算定が不適切であった場合、単なる計算ミスでは済まない以下のリスクが生じます。
- 上場スケジュールの遅延: 証券審査や監査法人レビューで重要な指摘を受け、資本政策のやり直し(過去に遡った修正)を余儀なくされる。
- 信用の失墜: 既存株主やVCに対し、価格妥当性の説明責任を果たせなくなる。
などのリスクが生じる可能性があります。
そのためスタートアップ企業の株価算定では
- スタートアップ特有の評価手法に対応できる専門家
- 監査法人対応の実務経験がある専門家
を選定することが重要です。
Gemstone石割公認会計士事務所が選ばれる理由
・豊富な算定実績: 累計1,000件超、直近2025年には年間139件の算定・評価業務を担当。IPO準備企業特有の複雑な資本政策にも精通した公認会計士が直接対応します。
・上場審査を見据えた品質: 2014年以降、累計30件超の新規IPOに関与 。監査法人レビューにも多数対応しており、算定を実施した案件についても公認会計士が責任をもって最後まで対応します。
・最新税制を踏まえた対応: ストックオプションのセーフハーバールールなど、最新の税制改正を踏まえた最適なアドバイスが可能です 。
スタートアップのマルチプル法・バックソルブ法の活用には、高度な専門知識と、監査法人・証券会社が納得するロジックの構築が不可欠です。
弊所では、累計1,000件超、直近2025年だけで139件の算定実績を持つ公認会計士が、貴社のステージに合わせた最適なバリュエーションをサポートします。
30分無料相談を実施しています
ご相談内容に応じて、次のような点を整理します
株価算定方法の選択に関する相談
第三者割当増資発行のための株価算定
行使価額設定のための株価算定
『まだ具体的なスケジュールが決まっていない』『概算費用だけ知りたい』といったご相談もお気軽にお問い合わせください。
初回30分は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
株価算定コラムシリーズ
本コラムは「スタートアップのための株価算定入門」シリーズの第5回です。
第1回 非上場企業の株価算定・企業価値評価とは → こちら
第2回 非上場株価算定の3種類(DCF法・マルチプル法・純資産法)→ こちら
第3回 スタートアップ企業のDCF法(VCレート・Exitマルチプル)→ こちら
第4回 マーケットアプローチ(マルチプル法・バックソルブ法)→ こちら
第5回 非上場企業のストックオプション発行時の株価算定(本記事)
第6回 増資目的の株価算定(リリース予定)
第7回 M&A目的の株価算定(企業価値評価)(リリース予定)
第8回 訴訟目的の株価算定(リリース予定)
第9回 株価算定に必要なプロセス、資料
第10回 株価算定の依頼先、費用
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