2.未公開会社の株価算定方法

株価算定の目的により株価算定方法は異なってくることに留意する必要があります。

同族株主間の株式の異動、株式公開準備企業の第三者割当増資、従業員へのストック・オプション発行、M&Aによる事業譲渡等により株価算定方法は大きく異なってくるのです。
当会計事務所では、株価算定目的や企業の状況に応じて、以下の評価法あるいは折衷法により株価の算定を行っております。

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企業のストックとしての純資産に着目した株価算定方式です。

1株当たりの株価=純資産÷発行済株式総数

この方式は以下のケースによく適用されます。

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純資産方式には、簿価純資産法、時価純資産法、時価純資産プラス営業権法、再調達時価純資産法、清算処分時価純資産法、国税庁時価純資産法等があります。これらの方式は、企業の収益性、成長性、配当状況を考慮していない静態的な価値評価である点、また債務超過の会社に適用できない欠点があります。

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将来その企業が生み出すキャッシュフローの割引現在価値を基礎にした株価算定方法です。

1株当たりの株価=将来予想ディスカウントキャッシュフロー合計額÷発行済株式総数

(将来予想ディスカウントキャッシュフロー合計額は、各年度のキャッシュフローを資本コストで割り引いて計算されます。)
成長企業や収益力の高い企業に妥当します。一般の株式売買やM&A等に適用されます。
DCF方式による株価算定は以下の手順で行われます。

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未公開企業の株価算定実務では、CAPM理論で算定された資本コストに、一定のリスクプレミアムが加算されることが多いのですが、株価算定書における理論的な整合性を十分に確保することが重要です。

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DCF方式は、企業のキャッシュフローに着目した株価算定方式ですが、将来キャッシュフロー予測と資本コスト推計に恣意性が介入する等の欠点もあります。(※)事業計画が下ブレした状況で、前回増資時よりも高い株価をつけたい場合には、前回の株価算定書との連続性・整合性を確保する必要があります。

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●収益還元方式

1株当たりの株価=1株当たり予想税引後純利益÷資本還元率

1株当たりの予想税引後純利益を資本還元率で還元し、株式の評価額とする方式です。

企業の収益力に着目した評価方式ですが、欠損会社に適用できないこと、収益予測と資本還元率採用に恣意性が介入する等の欠点もあります。

この他、配当還元方式があります。利益処分の配当金によるリターンに着目する株価算定方法です。同族会社の非同族株主の株式売買等に適用されます(少数株主は配当を重視するケースが多いため)。
配当方式には、配当還元法、ゴードンモデル法等があります。
これらの方式は、配当金額が経営政策で決定されること収益力、純資産の状況を考慮していないという欠点もあります。

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株価鑑定必要資料

未公開会社株式の評価は、使用する資料の精度及びその選択によって、その精度が 左右されます。 通常、以下のような資料が株価鑑定のために必要となります。

(1)株価鑑定全般に必要な資料

決算税務申告書3年分(勘定内訳書含)

事業計画3年分(利益計画とキャッシュフロー計画)

設備投資計画(キャッシュフロー計算書を作成していない場合)

類似業種の上場会社リスト

商業登記簿謄本

不動産登記簿謄本(不動産保有の場合、不動産鑑定士の鑑定評価書、時価明細等)

会社の概況が分かる資料(会社案内等)

株主名簿(代表者との関係や株主の属性が分かるもの)

新株予約権原簿等(ストックオプションを発行している場合、個数、行使価格等が分かるもの)

同族関係の関係図

過去の株価鑑定資料(今回の株価鑑定との整合性を確保)

(2)不動産の評価に必要な資料

① 登記事項証明書

②固定資産税納税通知書

③ 賃貸借契約書(及び入居状況の確認できるもの)

④ 実測図(又は地積測量図)

(3)上場会社株式の評価に必要な資料

① 預かり証明書(又は残高証明書)

②配当金支払通知書

(4)現金預金の評価に必要な資料

① 通帳写し

(5)保険金の評価に必要な資料

① 保険証券

②解約返戻金計算書


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